赤い糸のその先は…。
幸太郎saido
社員食堂を出て廊下を歩いていたら、一条直樹に声を掛けられた。
「ほんとに、『あーん』して食べさせようとするなんてねぇ、課長さん?」
「俺は自分の言ったことには責任を持つ男だからな。」
「でも、僕の方が彼女にピッタリだと思いませんか?」
思わねぇよ。
「僕の方が年も近いですしね。」
彼女には、7つ年上の俺の方が丁度いいんだよ。
「それに、僕は将来を約束された未来がある。」
ふぅーん。 だから?
「あなたは知らないかもしれないが、僕はあの一条グループの後継者なんだ。
去年、この会社で彼女を見かけた時から、彼女を欲しいと思った。
だから、彼女に近づくために父親に社会勉強だといって、
この会社に入社出来るようにしてもらったのさ。」
タダの無能なお坊ちゃんだろ?
「あなたがエリートだからと言っても、所詮、普通の会社員だ。
もう、僕の邪魔をしないでもらいたい。」