赤い糸のその先は…。
「ククッ。 イイよ、もっと言って?」
「......。」
「企画課の人間は会議の準備に追われているからね。
誰も君が居ないのなんて気づかないさ。」
「......。」
「さっきの仲間が、ゆずちゃんにコピーを頼まれたって言えば、
君が忙しくて他の仕事をしているんだって思ってるよ。」
「......。」
「ねっ、だから君は何の心配もしなくてもいいんだよ。
今から、君は僕のモノになるんだからね。
優しくしてあげるから、怖がらなくてもいいんだよ。」
そう言いながら、また一歩近づいてきた。
「何言っちゃってるのっ? 絶対あんたなんてお断りよっ!」
「ふっ、僕が誰なのか知ったら、きっと君の考えが変わるよ。」
「興味ないし。」ふんっ、 水戸黄門じゃあるまいし、何が言いたいの?
「実はね。 僕は一条グループの後継者なんだ。 ふふっ、驚いたでしょ?」
「別に。 だから何?」
「僕は次期社長になるんだよ? その僕と結婚すれば贅沢に暮らせるし、
なによりも、僕が沢山愛してあげるよ。」
だんだんと顔を近づけてきた。 うぅぅ...キモイっ...。
気持ちが悪いから掌で思いっきりそのキモイ顔を押しのけてやった。