赤い糸のその先は…。

目の前には彼女が立っていた。


振り返った彼女は...。


絶句した。


髪は乱れて、ブラウスのボタンは引き千切られたんだろうか胸元が肌蹴ている。


白い肌には、いくつもの赤い痣。


頬が腫れ上がって血が滲んでいる口元。


あまりにも痛々し過ぎる。


アイツを殺してやりたいぐらいの憎しみが込み上げてきた。


そんな事よりも、目の前の彼女を抱きしめてやらなければ...


抱きしめてやらないと、今にでも彼女が崩れ落ちてしまう...そう思った。


彼女にゆっくりと歩み寄り、自分のジャケットを脱いで彼女を包み込んだ。


抱きしめたら、壊れてしまわないだろうか?


俺は、もろく壊れそうな彼女の肩を引き寄せて抱きしめた。


< 227 / 238 >

この作品をシェア

pagetop