赤い糸のその先は…。
企画開発課のみなさんは、
『手伝うよ』とか『大変そうだけど、頑張ってね』とか
労いの優しい言葉すらもかけてくれず、同情的な眼差しを向けつつも、
とばっちりを受けないように気配を消している。
はいはい、皆さんも自分の事で精一杯なのは十分わかっていますよ。
だけどね、定時に帰れる余裕が皆さんにあったのは驚きですよ。
それでもって、この広いフロアに鬼課長を二人きりだなんてさ。
もう、時計は20時をまわっている。
ブスッっと不貞腐れながら、キーボードの音をカタカタとさせていると、
いつの間にか、課長が隣のデスクに腰を下ろしていた。
「まだ、かかりそうか?」
「もう、終わります。 後は、プリントアウトするだけです。」
「そうか、じゃあ、飯でも食いに行くか? 腹減っただろ?」
ふんっだ。アメとムチで手懐けようったって、そうはいかないんだからねっ!
「いえ、家で夕飯の用意をしてくれているので、まっすぐ帰ります」
「・・・・。」
無言で、そのまま席を外して何処かに行ってしまったから、
機嫌をそこねちゃったかしら?
…って思っていると、また戻ってきて、何かを私のデスクに置いた。