赤い糸のその先は…。
奴の視線を感じつつカウンターに戻ると、
先輩アルバイト3人に『どうだった?』って聞かれた。
以前、先輩達も今の私みたいに『いつもの。』って不機嫌に言われて、
シドロモドロになったとか。
奴は、ここ最近来店している常連さんらしく、
いつも超無愛想で、俺に話しかけるな、
近づくなって感じのピリピリした不機嫌オーラを出しているらしい。
眺めるにはイイ男で目の保養になるからいいけど、
接客は無理って先輩たちが言っていた。
だから、いつもはお兄ちゃんが奴の相手をするみたい。
でも、どおりでさっきまで隣で世間話をしていた先輩たちが、
そそくさと厨房に引っ込むわけだわ。
私に、擦りつけるつもりだったのね。
お兄ちゃんに、その事を報告したら、
笑いながら「今度から頼むね。」って言われた。
社会に出たら色々なタイプの人間がいるし、中には気難しい人もいるから、
そういった人達に慣れる為にも積極的に接客はするようにだって。