赤い糸のその先は…。
そんなこんなで、三か月ぐらいたって奴の接客にも慣れた頃。
アルバイトが休みだった日。
突然降り出した雨から避難する為に、
学校帰りにお兄ちゃんのカフェの軒下に駆け込んだ時だった。
一応、折りたたみの傘があったから多少の難は逃れたけど、
それでも雨足が強かったから、足元がぐっしょり濡れてしまった。
はぁ...っと、ため息をついていたら、
「まいったな。」と、頭の上から男の人の声がした。
見上げると、・・・あっ・・奴だ。
どうやら、奴は傘を持っていないらしい。
そうだよね。さっきまでお日様が照っていたし、
誰も雨が降るとは思わないよね。
カフェの軒下で、どうしようかと思案している奴に・・・
「よかったら、これ使ってください。」
・・・って声をかけながら、
さっきまで私が使っていたピンクのウサギ模様の傘を差し出してみた。
「えっ?」
あー、やっぱり驚いちゃってる? なんていったってピンクだし?
クスッ。
へっ?今、笑った。珍しい。だから、雨降っちゃったのかなぁ。
だけど、最近は不機嫌オーラがなくなってるかも。
「ありがとう。 助かるよ。 でも、借りてもスグには返せないんだ。」
「スグにじゃなくても、大丈夫ですよ。傘は、いっぱい持っているので。」
「じゃあ、使わせて貰おうかな。」
「はい、どうぞ。私が居なくても
ココのマスターに渡しておいてくれればいいので。」