赤い糸のその先は…。
「はい、これはサービスだよ。今日は忙しかったし、ゆず葉にご褒美だよ。」
「うわぁ、ガトーショコラだぁ、うれしいぃ。」
一瞬にして、彼女の最高の笑顔を引き出したマスター。 スゴイな。
「はい、よかったら、幸太郎君もどうぞ。」
「あれ、二人は知り合いだったんですか?」
俺が、彼女の笑顔に見とれていて直ぐに答えられないでいると、
「彼は、常連さんだからね。名前くらいは覚えておかないと。」
マスターが代わりに答えてくれた。
まぁ、俺じゃなくて姉貴が知り合いなんだけどね。
「そっかぁ、そうですね。」
「そうそう、それと、これから僕は用事があって夕方まで戻らないから、
後はよろしくね。」
「はい、了解です。」マスターに向かって最敬礼をする彼女が可愛くて、
つい、顔が緩んでしまっていると、
「幸太郎君も、ごゆっくり。」とマスターがウインクをしてきた。
やっぱり、感づかれているな。 きっと。