赤い糸のその先は…。
そう思っていた矢先、兄貴から辞令が言い渡された。
3年間、大阪支社に出向だという無情な辞令が...。
親父や兄貴の支えになりたいと思っていたのは俺だ。
だけど、このタイミングで?
会社に入りたての俺は、人を寄せ付けない、いわば協調性のない人間だった。
兄貴が言うには、最近の俺は少しずつその殻を破っていたらしい。
だからこそ、今がその時なんだとか。
3年間勉強して来いって事か。
せっかく、近づけた彼女と離れるのか...。
くっと、気づけば、何処にもぶつけることのできない憤りを掌に握りしめて
壁を殴っていた。