私と先輩。
「……その、柏崎先輩だけ、なんです。私、柏崎先輩と話すときだけ、緊張して上手く話せないし…。心臓が…。柏崎先輩と話すときだけ、すっごく、うるさくて…」
私の詰まり詰まりの聞きにくい話でも、佐野先輩はちゃんと聞いてくれた。
手汗が、止まらなくて。
スカートを掴んでいる手に、力が入る。
「んー…。誠ちゃんさ、仁が誰かと付き合ったら、悲しい?」
想像、してみる。
もし、柏崎先輩が誰かと付き合ったら…?
「…っ」
胸の奥が、ギュっと締め付けられたように痛い。
苦しい。
「……イヤ、です。多分」