私と先輩。
勢いよく手をブンブン振ったけど、ガシッと奏に掴まれてしまった。
「…絶対、先輩は誠のこと好きだよ」
自信満々の笑顔で、奏はニカッっと笑った。
でも、それとは対照的に真っ青な私。
「む、無理だよ…。だって、先輩には委員長がいるんだよ…?」
あんなに穏やかな先輩の笑顔、私には見せてくれたことない。
私は、先輩の特別じゃないから。
先輩の特別は、委員長だから。
「大丈夫。絶対、両思いだから」
さっきとは違って、真剣な顔の奏。
その表情に、つい、ドキッとしてしまった。
「む、無理…」
視線をそらすと、奏はポンっと私の頭を優しく撫でた。