水色の色鉛筆。

黙々と読んでいると、
足音が近づいてきた。
それは、私の病室の前で止まった。


コンコン

ドアを叩く音。

「どうぞ。」

「失礼します!」

男の人の声だった。
久々に聴く、お父さん以外の人の声だった。


勢いよく扉があくと、
Tシャツの上に黒っぽいダウンを羽織り、
カーゴパンツを穿いた、
いかにもモテそうな男の人が居た。

「こんにちは!!」

「・・・えっと・・・誰ですか?」

私がそう言うと、
彼は屈託のない笑顔を見せ、

「俺、海野 翔。」

ウミノカケル・・・?

「あ、俺、こんなだけど一応
藤咲さんのクラスの学級委員。宜しく!」

「名前、素敵だね。
綺麗。あなたにぴったり。」

彼は少し顔を赤くした。

「ありがとう。藤咲さんの名前も綺麗。」
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