色褪せない、あの空へ
色褪せないあの空へ
ある日の放課後。
私は屋上でただひとり佇【ただず】む。
ああ、何て私は最低なんだろう。
この中に芽生えている感情を、押し殺すこともできない、愚かな私。
出来ることなら、このまま来ないで。
と身勝手な願いを心の中で願う。
けれど。
ガチャリ、と鳴らしその後は錆びた音を響かせ、扉は開く。
「ごめんね、呼び出したりして」
「どうしたんだよ、沙織【さおり】。
俺、部活で急いでるの知ってるだろう?」
こんな時も、あなたは部活を優先する。
…そうだよね、大会前だもの。
そんな大切な時に呼び出した、私が悪い。
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