色褪せない、あの空へ
「断ったら、ダメだよ」
「沙織?!」
「私なんかのせいで、尚樹の夢を壊したくない」
涙が出る。
何に涙が出るって、悲しくてじゃない。
私が、私自身の愚かさに。
もっと私が器用な人だったなら。
もっと私が気を使えるような人だったなら。
もっと私が、頼りになる人だったなら。
あなたは言ってくれたのだろうか。
「私は、あなたの傍にいるべきじゃない」
「…おい、待て」
「…だから」
「おい、言うな!」
「別れてほしいの」
私はもう、耐えられそうにない。
私を置いて、遠くに離れて行く、あなたを。
ただ後ろで見ているだけなのは、私には出来そうにない。
そして、あなたをただ純粋に応援していたあの頃の私に戻りたい。