『ぱられる☆』
 いたたまれなくなった眞一郎は流れを変える。
 「何か用か?」
 「あぁ、そうだった」
 と理乃は手をポンとうつ。コイツは天然なのか?
 眞一郎はそう思った。
 「………お母さんがお向いに新しく引越して来た人に挨拶して来なさいって」
 確かに、今日は道に引越し屋のトラックが止まっていた。
 「…面倒くせぇ…お前だけで行けよ……。つか、引越して来たヤツらから挨拶するだろ普通」
 と虫を払うが如くシッシッと手を振る。
 「……駄目」
 眞一郎の裾をちょいちょいと引っ張った。
 「で、母さんは?」
 「……お父さんと何処かに行ったよ」
 「んだよ…!!」
 余計な事を、とブツブツと文句をたれる。
 両親は、治安の良さは住民が仲良くしてこそ成り立つ、と考えているので近所の付き合いを大切にしている。
 なので、こういうことにはうるさいのであった。

 「……早くして」
 「へいへい」
 長いため息を吐いた。
 すでに妹は小綺麗な格好をしている。
 母が妹に買ってあげた軽くゴスロリテイストの入った服である。
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