お姫様に花束を
カノンside

……私はイスにもたれかかりながら大きなため息を一つ吐いた。


……また、つまらない生活が戻ってくる。


「あーあ………」


……これでいいの。

これで……いいんだから。


……私には……やらなければいけないことがあるんだから。


「……よし」


小さく意気込み、私は手元の書類に目を落とした。

……その時だった。


コンコン、と扉をノックする音が聞こえた。


「はい?」


……ウェルスかな。

でも……戻ってくるの早すぎじゃない?

今さっきリオンを送りに出かけたところなのに……。


私がそう思っていると、ゆっくり扉が開いた。


……中に入ってきたのは予想外の人物だった。



「……ディラン」

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