お姫様に花束を
「……例のバーテンダーと……付き合ってるのか?」
ディランが恐る恐る聞いてきた。
「……付き合ってない。
……私が結婚する相手は……決まってるもの」
……いくら想ったところで……
……いくら相手を愛したところで……
……それは変えることができない。
「……本当に……本当に付き合ってないんだな」
「……そう言ってるでしょ。
何でディランがそんな必死なのよ」
私がそう聞くと、ディランはハッとしなぜか気まずそうに私から目をそらした。
「それは………俺がカノンのこと……」
「私が?何」
「……何でもない。
……とにかく、こんなこと母上に知れたら大変だから」
「そしたら、あの人は本気で私を陥れにかかるでしょうね」
「カノン……」
「……私は絶対ここからどかない。
あなた達みたいな人間に王位を継承させるもんですか」
こんな……人を蔑むような人に。
絶対このイスには座らせない。