お姫様に花束を
久々に商店街を歩けば、やはり活気があって良い場所だった。
何を食べよう……。
そう思って歩いていると、ふと良い匂いが漂ってきた。
この匂いは……
俺はその匂いにつられるようにある店の中へと入っていった。
「いらっしゃい。
……あら、リオン!」
「おばさん、久しぶり」
「久しぶりじゃないわよ!
もう……心配してたのよ?
急にリオンのアパートにパパラッチが押しかけて……。
肉屋のジェイクと一緒にリオンの部屋を訪ねたら誰もいないし……」
パン屋のおばさんは本当に心配そうな顔をしながらそう言った。
「でも……元気そうでよかった。
ほら、リオンの好きなベーグルが焼き立てよ。
持ってって」
「え……いいの?」
「もちろん。
……その代わり、落ち着いたら何があったのかちゃーんと話してもらうからね」
「ははっ……ありがとう」