お姫様に花束を

「俺達がこうして何不自由なく生活できているのは庶民の皆さんの労働があってこそだ。
君はそんなことも理解できないの?」


エリック様が俺を庇うように俺とディラン様の間に割って入った。


「それに。
大学に行って更に夜遅くまでバイトをしているリオンは母親に甘えてばかりの君より数段立派だと思うけどね」

「俺は甘えてなんか……」

「甘えているだろう?
実際、君は母親のミランダ様がいなきゃ何もできないじゃないか。
もし仮にカノンが王位の座から降りて君が国王になったとしたら、コアブルは終わりだね」

「なっ……!
いくらラミリアンの王子とはいえこれ以上の侮辱は許しませんよ」

「侮辱?
俺は本当のことを言ったまでだけど。
ね、リオン」


何でそこで俺に振るんだ……!

エリック様はニコニコして楽しそうな表情をしている。


「そういえばさっき、カノンが職務を疎かにしているとか何とか言ってたけど……俺が見た限りではそんな様子微塵も感じられなかったけどね。
確かにリオンのことを引きずってる感じはあるけど、仕事はちゃんとやってるよ。
君と違って」



笑顔を見せながらさりげなくディラン様を侮辱するこの人は……

もしかして……腹黒?

いや……ドS?

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