お姫様に花束を
「とにかく。
本当にカノンのことを想うなら、その歪んだ愛情は捨てて君が潔く諦めるべきだと俺は思うけどね」
歪んだ……愛情?
「君はただリオンのことを排除したいだけだろ?
自分のために。
自分が少しでもカノンのそばにいたいがために」
……じゃあ……もしかしてディラン様って……。
俺がディラン様を見れば、ディラン様は悔しそうに唇を噛みしめていた。
「……俺は絶対認めない。
……こんなド庶民……絶対……」
「人を愛することに身分なんて関係ないと思うけどね」
……エリック様のその言葉が胸に深く沁みた。
身分なんて関係ない……?
……けど……愛することはできても……その後幸せになることは……できないんじゃないか。
いくら好きでも叶えられない想いだって……ある。
「……俺は絶対認めないからな!」
ディラン様は最後にそう言って……切なそうな顔をしながら俺の部屋から出ていった――