お姫様に花束を


「まぁ、実際難しい問題だとは思うよ。
俺もそれが分からない程バカじゃないしね。
一応、他国とはいえ俺も王族の人間だし」


エリック様はスッと視線を下げると自分の手元を見つめた。


「……俺達はさ、生まれた時から運命が定められていて。
未来の国王になるためにっていろいろ教え込まれて……みんなから期待されて。
国民から見たら王室って憧れの存在かもしれないけどさ……実際、そんな綺麗なものじゃないし。
それは多分……カノンが一番身に沁みて分かってると思う」


……エリック様もウェルスさんも……カノンは王室にいることを苦痛に感じていると言った。


……あの日。

カノンがバーに来て泣いたあの夜……。

……あの日は夕食会があったと聞いた。

それに出席せず城を抜け出して俺との写真を撮られて……そう国王様が仰っていた。


……カノンは苦しくて、辛くて……それで逃げ出したんじゃないか。

泣きたくて……でも、あの城の中では泣けなくて……それで俺のところへ……。


「……カノンは……救われるんですかね。
あのまま王室にいて……カノンは……幸せになれるんですかね」


ウェルスさんは言っていた。

カノンには幸せになってほしいと願っている、と。


でも……自分の感情が吐き出せないあの城にずっといて……カノンは果たして幸せになれるのだろうか……。
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