お姫様に花束を

「……さぁね。
幸せかどうか決めるのはカノン自身だからね。
でも……カノンは自分が幸せだと感じたことは……あるのかな」


エリック様は遠くを見つめながらポツリとそう呟いた。


「前、エリック様……仰ってましたよね。
俺ならカノンを救えるかもしれない……って」

「言ったね、そんなこと」

「それ……今からでも間に合いますかね」


エリック様が少し驚いたように俺を見て……フッと口元を緩めて小さく笑った。


「……実はね、今ちょっと行き詰まってるみたいなんだ、カノン。
……だからさ、そういう大変な時にこそ……大切な人にそばにいてもらいたいものだよ」


そばに……。


「……でも、俺はもうカノンと会う機会は……」

「そんなの、思ってればどうにかなるもんだよ。
人生なんてそんなもんさ」


エリック様はそう言って静かに笑った。

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