お姫様に花束を
「……何で…」
「何でって、リオンは俺の友達だからね。
元気にしてたよ」
「……そう」
……私はクッションをギュッと抱きしめた。
そんな私を見てエリックは呆れたように息を吐いた。
「……あのさ、カノン。
そろそろ素直になったらどうなんだ?」
「え……?」
「そろそろ……素直に自分の感情出せよ。
……もう何でもかんでも無理しなくていいから」
無理なんか……
……そう言いかけて、やめた。
……エリックにそんなくだらない嘘をついても無駄だということぐらい、分かっていた。
「……お前は頑張ってきたよ。
ロイがいなくなってから……ずっと。
周りにいくら侮辱されても、心をズタズタにされても……それでも、ずっと耐えてきたんだろ」
……エリックの瞳は少し潤んでいた。
……こんなエリックは初めて見た気がする。
「誰も守ってくれる人がいなくて……いつの間にか自分で殻を作って、そこに全部感情を押し込めて……。
……お前は本当の笑顔を見せてくれなくなった」