お姫様に花束を

「……俺は悔しかったよ。
ロイの代わりにお前のこと守ってやろうって思ってたけど……実際は常にそばにいてやれるわけじゃないし。
……気づいたらどんどんお前の笑顔が失われていって……」


……エリック。


「でも、そんなお前をリオンは変えてくれた。
お前にとってロイを越えた存在になった……そうだろ?」


お兄様を越えた……存在。


「……でも、私には……許嫁が……」

「……お前はそうやって一生縛られながら生きていくつもりか」

「……仕方ないじゃない。
……私はこの国の王女なんだから」


エリックは私の顔を見て小さくため息をついた。

そして……ゆっくり諭すように口を開いた。


「王女だったら……幸せになっちゃいけないのか?
そうやって自分を押し殺して生きていかなきゃいけないのか?」

「それは……」


……私はクッションを抱きしめたまま俯いた。

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