お姫様に花束を

「……そうなの?
ねぇ、あなた……本当にミランダ様にそう言われたの?」


王妃様は知らなかったようで、驚きながら国王様にそう尋ねていた。


「……確かに。
ミランダにそういったことを提案されたのは事実だ」


王妃様は言葉を失い、信じられないといった表情で国王様を見つめた。


「だが、私は……」

「……だったら、さっさとそうすればいいじゃない。
私のことが気に入らないなら、撤廃でも排除でも何でもすればいいじゃない!」


突然大声を出した私に国王様は言葉を飲み込んだ。

私は続けてまくし立てる。


「……私はお兄様じゃない。
何で……どうして、みんなしてお兄様と比べるのよ!!
私は好きでこの家に生まれたんじゃないし、好きでお兄様の妹に生まれたわけじゃない!!」


……嫌だった。

どんな悪口を言われるよりも……何よりも、一番……お兄様と比べられることが。

幼い頃から……それが苦痛で仕方なかった。


「何で私なんか生んだのよ……!
子供なんて……お兄様だけで十分だったじゃない!」

「お前、親に向かって何てことを……」

「親らしいことなんて何もしてないクセに!!」


……私がそう言えば、国王様と王妃様の動きがピタッと止まった。


……私は溢れ出しそうになる涙を必死で堪えた。

そして……その場から逃げだした。

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