お姫様に花束を

私が驚きながら振り返ると、そこには……


「リオン……」


何週間ぶりかに見た、リオンの姿……。


リオンは驚きながら私を見つめていた。


「え……何でここに……」

「それは……」


……私は微かに俯く。

何て言おうか……。

どこから説明しようか……。

いっぱいいっぱいの頭で必死に考える。


「カノン?」

「いやー、待たせたね。
カノンちゃん、ほら揚げたて……あれ、リオン。
お前も来たのか」


すると、ジェイクさんがコロッケと共に店の奥から出てきた。

そして私とリオンの顔を交互に見ると、ポンと何か思いついたように手を叩いた。


「そうだ。
カノンちゃん、中で食べて行きな」

「中?」

「そ、店の中。
ほら、リオンも」

「あ……ちょっ、おっちゃん……」


私とリオンはジェイクさんに無理矢理奥へと押し込まれた。

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