お姫様に花束を

「………………」

「………………」


ジェイクさんに無理矢理中へと押し込まれた私達はテーブルの上に置かれたコロッケを見つめながら、黙り込んだ。

……私はさっきからずっと俯いたまま。


「……カノン?」


リオンの声が聞こえ、顔を上げると……リオンが心配そうな目で私を見つめていた。


「……また……抜け出してきたのか?」


その問いに私はゆっくりと小さく頷く。


「……ウェルスさんとか……今頃捜してるんじゃ……」

「……かもね」


……ウェルスには申し訳ないと思っている。

……本当に。


「ね……リオン」

「ん……?」

「……誰かを……心の底から憎いと思ったことはある?」

「……え?」


突然の私の質問にリオンは困惑したような表情をした。

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