お姫様に花束を

「……みんなが求めているのはお兄様なの……。
っ……私なんか……いつも邪魔者扱いでっ……。
親族から嫌われて……お兄様が生きてた頃はそれでも良かったけどっ……。
っ……でも……もういないお兄様と比べられて……私はどうしろって言うの……?
私はっ……私は私なりに頑張ってきたつもりなのに……。
……誰も……誰もそれを認めてくれない……っ…。
私は……もうどうしたらいいのか……分かんないよ……」


止めどなく溢れ出す涙……。

城では出すことのできなかった……その涙を……私は今、リオンの前で流している……。


「カノン……」

「……城を出る前に国王様とケンカしたの。
……国王様は私に言ったわ。
“ロイだったら……”って」


……それが私にとってどれだけ屈辱的な言葉か……

どれだけの苦しみを与える言葉か……

……あの人は……そんなの、分かってない。


「……実の親にですらそんな風に思われて……。
……そんな発言をした国王様じゃなくて……っ……私……お兄様を憎いと思った。
……いつもいつもみんなから必要とされ、慕われている……お兄様が。
ほんの一瞬でも……心の底から憎いと思った……」


同じ兄妹なのに……。

どうして……何で私ばかり……。

そう思ったら……もう止まらなくなった……。

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