お姫様に花束を

「……リオン……」


カノンが俺の目をじっと見つめる。

そして……ゆっくりと口を開く。


「きっと……私といたらリオンは普通の生活はできないわ。
……辛いことだってあると思う。
それでも……」

「……それでもいい。
それでも……俺はカノンが好きなんだ」


この気持ちにはもう……嘘はつけない。

もう……止められない。


「っ……リオン!」


カノンがギュッと俺に抱き着く。

……俺はそんなカノンの背にそっと腕を回す。


「……私……もう逃げない……」


カノン……。


「……好き。
私も……リオンが好き……」


……やっと聞けた、カノンからの言葉。

心の中に温かいものがじわっと広がる……。


きっともう……俺達は後戻りはできない。


それでも……ただ目の前の愛しい人を手放したくなくて……。

ただ……それだけを思っていた。

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