お姫様に花束を
「ね……リオン」
「ん……?」
「お願いがあるの……」
「お願い……?」
俺が聞き返すと、カノンは小さく頷いた。
「私……もう国王様には従えない。
……たとえどんなに反対されても、私は私の生き方を貫くつもりよ」
「それって……」
「……だから、そのために……行動を起こさなきゃいけないの。
……これは誰にも内緒よ。
たとえ……ウェルスでも」
カノン……。
「……お願い、リオン。
私と一緒にナツメ町に行ってほしいの……」
ナツメ町って……
「……カノンが行ったら危険すぎる。
それだけはダメだ……」
「それでも行かなきゃいけないの!
行かなきゃ……きっと何も解決しない。
私、このまま力だけで彼らを抑えたくない……」
カノンの気持ちは分かる。
それは分かるけど……今、王家がナツメ町に行くことが危険だってことぐらい、庶民の俺でも分かる。