お姫様に花束を
いざ、ナツメ町へ
カノンside


ナツメ町は本当に国の外れにある。

都市部からはかなり遠い。

バスと電車を乗り継いではるばると……という感じ。


「……本当にウェルスさんに何も言わなくて良かったのか?」


新幹線に乗っている最中、リオンがそんなことを聞いてきた。


「……いいの。
きっとバレたら連れ戻されるから」

「…………………」

「……けど、きっとウェルスは私が今何をしようとしてるのか分かってるかもね」

「え?」


リオンが少し驚いたように私を見る。


「もし私が連絡をしたら、きっとウェルスは私を止めるわ。
……それが仕事だから。
でも……私が言わなくても私の居場所ぐらいきっと分かってると思う」


本当だったらきっと今頃私の居場所なんて突き止めている頃だもん。

分かってて……追いかけて来ないんだと思う。


リオンは私の顔を見てフッと口元を緩めた。


「信頼してるんだな、ウェルスさんのこと」

「……あの城で唯一信頼できる人だから」


21年間私に仕えてくれた、親代わりのような人。

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