お姫様に花束を
リオンside


ナツメ町。

コアブル王国の外れに位置する小さな町。

その町の入り口に俺達は立っていた。


「何て言うか……思ってたよりも静かだな」

「うん……。
もっと騒がしいと思ってた……」


ここでデモが起こってるなんて思えないほどのどかで静かな町だった。

小鳥はさえずり、川のせせらぎが聞こえ、青々とした木々がある……ぱっと見ただけでもとても自然豊かな場所であることが分かった。


「これが……ナツメ町……」


カノンは目の前の光景を何とも言えないような顔で見つめていた。


……俺はそんなカノンにパン屋のおばさんから貰ったという麦わら帽子を深くかぶせた。


「……まだ何があるか分かんないから。
ちゃんとかぶっとけよ」

「……うん」


< 162 / 271 >

この作品をシェア

pagetop