お姫様に花束を


ゲンさんにどこかオススメの場所はあるかと聞くと、海岸に行くといいと言われた。

俺達はゲンさんと別れて海岸へと向かう。


「海もあるんだな……」

「海に面した町だから……。
………………」


……カノンが黙る。

……遠くから、ザザーン……ザザーン……と波の音が聞こえる。


「……もしかしたら……私達……とんでもないことしようとしてるのかも……」

「え……?」


カノンは握っていた両手を開き……その掌を見つめた。


「……ナツメ町民がデモを起こす理由は……きっと……」


………………。

……俺はカノンの手をそっと握った。


「リオン……?」

「……まだ来たばかりだからさ。
結論を出すのは……もう少しちゃんと見てからにしよう」

「……そうね」


カノンは優しく俺の手を握り返した。

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