お姫様に花束を
「ね、リオン。
何を買うの?」
カノン様はものすごく楽しそうに俺に聞いてきた。
何か、昨日とは随分印象が違うな。
いつの間にか敬語じゃなくなってるし……いや、王女様に敬語遣われるような身分じゃないけど、昨日とは違うから……。
こんなに明るい子だったのか……。
「今日の昼食の材料を買おうかと……」
「何を作るの?」
「オムライスです」
「あの卵の料理ね。
美味しいよね」
王女様でもオムライスとか食べるのか……。
「あの、カノン様……」
「カノン」
「え?」
俺が思わず聞き返すと、カノン様はにっこり笑った。
「敬語はやめようよ。
私達、そんなに年変わらないでしょ?」
「ですが……」
「それに、こんなところでカノン様なんて呼んでたら、周りにすぐバレちゃうんじゃない?」
うっ……確かに……。
「ね?
だから、敬語はナシで」
「はい……あ、いや……うん」
俺がそう言うと、カノンは嬉しそうに笑った。