お姫様に花束を
私達はゲンさんの家に上がらせてもらった。
ゲンさんの奥さんはすでに亡くなられていて、息子さんは自立して都会に出ていったらしく今は一人暮らしだという。
私達が座ると、ゲンさんはお茶を出してくれた。
「あ、あの……いつから私が王女だと……?」
最初はバレてなかったはずなのに……。
「そんなもん、初めからに決まっとるじゃろ」
「え……」
「カノン王女のことはテレビでよく見ておったし、今この町でよく話題に出る人物じゃ」
……そうだよね。
……今、この町は私達に向けてデモを起こしているんだから。
「……それに、よく似ておられる」
「え……?」
ゲンさんは私の顔を見ると優しく微笑んだ。
「……前の王妃様に、よく似ておられる」
前王妃……。
それは……
「前の王妃様ってカノンの……」
「……おばあ様」
優しくて……大好きだった、おばあ様。