お姫様に花束を
「今のお前さんは前王妃様……アナスタシア様のお若い頃にそっくりじゃ」
おばあ様の……若い頃……。
「……なぜお前さんがこのタイミングでこの町に来たのかは知らんが……。
……はっきり言うと、お前さんがここにいるのが他の連中にバレたら危険じゃぞ」
……分かってる。
それは分かってて……ここに来たんだから。
「……それでも、お前さんはこの町のことを知りたいと言うんじゃな?」
……私はゲンさんの目をまっすぐ見ながらゆっくりと頷いた。
それを見て、ゲンさんは満足そうに笑った。
「……その目。
アナスタシア様に本当によく似ておる」
「目……?」
「ま、今晩はここでゆっくりと過ごしんしゃい。
着替えなんぞはこっちで用意しておくからの」
「あのっ……」
「お前さん達の部屋は二階に上がってすぐの部屋じゃ。
何かあったらわしを呼びなされ」
ゲンさんは優しい声でそう言うと、居間から出て行った。