お姫様に花束を

「………………」

「カノン?」

「あ……何?」

「いや……ボーッとしてたから」


ゲンさんが出て行ってから、私は居間でぼんやりとただ目の前を見つめていた。

ゲンさんの言っていたことが心のどこかで引っかかって……。


「……私……そんなにおばあ様に似てるのかな……」

「さあ……。
俺も若い頃の前王妃様は見たことないから……」

「初めて言われたの、こんなこと。
だからかもしれないけど……何か気になって……」

「気になるって、何が?」

「それは分からないけど……。
……でも、もしかしたら……」


ゲンさん……おばあ様のこと……何か知ってる?

何の根拠もないけど、ふとそんなことを思っていた。


「……そんなわけないか」

「カノン?」

「ううん、何でもない。
部屋、行こ。
確か二階って言ってたわよね……」


変なこと考えていたってしょうがない。

私は今、目の前にあるこの町の問題を解決しなくちゃ……。

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