お姫様に花束を
リオンside

俺達はゲンさんの言っていた部屋に足を踏み入れた。

少し広めな綺麗な和風の部屋。

そして、脇に置かれた布団。


「………………」

「ねぇ……リオン」

「……ん?」

「何で……布団……一つしかないの?」


……見る限り……布団は一組しかない。

えーっと……これは……つまり……


「……ゲンさん……」


なぜ……。


俺がそっとカノンの方を見ると、カノンは呆然としながら布団の方を見つめていた。


「……俺は別にこれでもいいけど」

「え?」

「二人で一緒に寝てもいいけど」


むしろその方が……


「……カノンは、嫌?」


俺が口元に小さく笑みを浮かべながらそう聞くと、カノンは顔を耳まで真っ赤にして俺から目をそらした。


「そんなこと……。
……聞かないで」


……少し恥ずかしそうにそう言うカノン。

そんなカノンが可愛くて俺の胸は何だかくすぐったいような気持ちになった。

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