お姫様に花束を

着替えて下に下りると、ゲンさんがテーブルに朝食を並べていた。


「おぉ。おはよう、二人共」

「おはようございます」

「今朝食ができたところじゃからの。
早く座りんさい」

「すみません、わざわざ……」

「いいんじゃよ。
わしも大勢で飯を食べるのは久しぶりでの。
楽しみにしておったんじゃ」


ゲンさんはそう言って嬉しそうに笑った。

本当に良い人だ……。


三人で食卓に着いてゲンさんの作ってくれたご飯を食べる。


「ん……これ、美味しいですね!」


私は焼き魚を頬張りながらそう言う。

こんな美味しいお魚……初めて……


「それは昨日お前さん達が見た海で獲れた魚じゃ」

「あの海で?」

「この辺りの魚は美味しいんじゃぞ。
海鮮丼なんかは絶品じゃ」


そうなんだ……。

……知らなかった。何も……。

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