お姫様に花束を

ゲンさんのことはモヤモヤしたままだったけど……

私とリオンは朝食を食べるとゲンさんに連れられて外に出た。

ちゃんとモニークさんに貰った麦わら帽子をかぶって。


「昨日は春のナツメザクラと夏の海を紹介したからの。
今日は秋と冬じゃ」


ゲンさん……今は普通に話してるけど……。

……やっぱりおばあ様と何かあるんじゃ……。

でも、何かって何だろう……。


「カノン、どうかした?」


ずっと頭の中で考えていると、不思議に思ったのかリオンが声をかけてきた。


「あ……ううん。
何でもない」


ゲンさんのいる前では言えない……。


「そっか……ならいいけど。
……絶対バレないようにしろよ。
危ないから」

「……うん。ありがとう」


私の返事を聞くとリオンは優しく微笑み、私の頭をポンポンと優しく撫でた。


「さぁ、二人とも。
秋といえば何じゃ?」

「秋と言えば……?」

「サンマ、栗、松茸……」

「リオン、食べ物ばっかり……」

「いや、だって……」

「ほっほっほっ。
確かにそういったものも美味じゃが。
食べ物じゃなく見るものとして、はどうかな」


見るもの……?

観光……。

秋……。


「秋の観光か……。
俺、紅葉狩りなら行ったことあるけど」

「そう、それじゃ」

「え……?」

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