お姫様に花束を

歩いている間、ゲンさんは一言も喋らなかった。

さっきまでいろいろ話してくれたのに……。


……私が少し俯きながら歩いていると、不意に頭の上にポンと何かが載せられた。


「リオン……?」


少し見上げると、リオンが私の頭の上に手を載せているのが分かった。

リオンは私の顔を見ると優しく微笑んだ。


「……大丈夫だから」


リオンが小さな声で……優しくそう言った。


「……うん」


リオンの顔を見るだけで、リオンの声を聞くだけで……なぜか安心する。


大丈夫……だよね。


……ここで怯んでちゃいけない。


これから、きっと……こんなことはたくさんあるんだから。


こんなところで怯んでたら……私はいつまでたってもこの国のトップにふさわしい人間にはなりきれない。


ちゃんと……前に進まないと……。


「……ここじゃ」


ゲンさんが足を止めた。



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