お姫様に花束を

目の前にはロープが張られ、"建設予定地につき立ち入り禁止"という看板が立っている。

ここが建設予定地であることには間違いない。


そして、そのロープの向こう側に広がっていたのは……


「……嘘……」


……私は自分の目を疑う。

目を擦ってもう一度前を見る。

だけど、何度目を擦っても私の目の前に広がっているのは……


「……お花畑……?」


一面に広がっている色とりどりのお花……。


「……そんな……」


愕然とする……。

……こんなの……聞いてない。

こんなの……


「ここはただの空き地じゃない。
……昔から残る、町民の癒しにもなっている花畑なんじゃ」


雑草以外何もない?

……どこに何もないのよ。

……どこに雑草が生えてるのよ……。


「酷い……」


こんなの……酷すぎる……。



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