お姫様に花束を
「血も涙もないって……。
……カノンのこと何も知らないクセに勝手なこと言わないでください」
ゲンさんの視線から私を守るようにリオンが私の前に立ちはだかる。
「リオン……?」
「何言っとるんじゃ、お前さんは……」
「確かに国がしようとしてることは酷いことです。
カノンはこのことを知らなかったみたいですが……知らなかったじゃとても済まされることではありません。
それに関しては国にもカノンにも非があるでしょう」
ですが……とリオンは続ける。
「カノンはこれまでずっとこの町に来ることを希望していました。
でも、昨日ゲンさんも仰ってた通り……今、カノンがこの町に来ることはとても危険なことです。
国王様は反対したそうです。
……でも、カノンはここに来ました。
城の人間に黙ってでも……ここに来たかったんです。
この町のことが知りたいから。
直接、自分の目で確かめてみたかったから……」
リオン……。
「……ゲンさんや町民の方々が怒るのも無理はない状況です。
……ですが、そういったカノンの思いも少しは分かってもらえませんか?」
ゲンさんはじっと真剣な目でリオンを見つめる。
リオンもまっすぐゲンさんの目を見つめる。
……やがて、ゲンさんは諦めたようにフッと息を吐いた。