お姫様に花束を
思い出
リオンside

ゲンさんの言葉を聞いてカノンは固まった。

必死に記憶を思い起こそうとしているのか少し目線を上に向けながら考え込む。


「……まぁ、あの時カノンはまだ三歳かそこらだったからの。
覚えていなくても不思議ではないが」


三歳……。

てことは十八年ぐらい前ってことか……。


「全然……覚えてないです」

「なら……この町に別荘があることも知らんのか」

「別荘……?」

「王家の別荘があるんじゃ。
……わしはその別荘の管理人をしとった」


管理人……?


カノンが驚いたようにゲンさんを見た。


「だからおばあ様のこと……」

「アナスタシア様と前国王様はこの町を好いてくださっていた。
じゃから、よく息子である今の国王様を連れて遊びに来ていたもんだ」


国王様も……ここに……?
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