お姫様に花束を

「……知らなかった……。
……でも、だとしたらお父様は……国王様は……ここがお花畑であることを知っていたんじゃ……」


……そうか。

カノンはこのプロジェクトを国王様から引き継いだと言っていた。

てことは、国王様はこの場所に施設を建てることを初めから知っていたことになる。

それなのに……


「おばあ様のお気に入りの場所だと知っていながら……この地に建設を……?」


カノンが愕然とした顔でそう呟く。


……しかし、ゲンさんはゆっくり首を横に振った。


「いや……今の国王様は……アンドリュー様は多分この場所を知らんと思うぞ」

「え……?
……どういうことですか?」


すかさずカノンが尋ねる。

ゲンさんは昔を思い出しながらゆっくりと話をしていく。


「アナスタシア様がアンドリュー様にこの場所の写真を見せてお話なさっていたのは見たことはあるが……。
多分実際にあの場所に行ったことはないと思うぞ。
だからこの花畑がどこにあるかは知らんはずじゃ」


ゲンさんはきっぱりとそう言い切る。

断言するゲンさんを見ながらカノンは不思議そうに首を傾げる。

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