お姫様に花束を
《もしもーし、リオン?》
……は?
《あれ、聞こえてないのかな……。
リオーン、おーい!》
この声……
この呑気さ……
……まさか……
「え……エリック様……?」
《お、通じた?
やっほー、久しぶり》
そんなに久しぶりでも……ないんだけど。
「どうしたんですか?
ってか……何で俺の電話番号……」
《そんなの、俺の力を使えばちょちょいのちょいさ!》
……職権乱用……。
《まぁまぁ、そんなことはおいといて。
そっちはどうなのよ。
ナツメ町にいるんでしょ?》
「なっ………!
ど、どうしてそれを……」
《カノンの考えてることぐらいすぐ分かるって。
アイツ、意外と単純だからなー》
ははは!と電話越しに笑い声が聞こえてくる。
《どう?楽しい?》
「俺達、別に遊びにきたわけじゃ……」
《はは!分かってるよ。
でも、確かそこって王家の所有する別荘があるんだったよな?
そこでのんびりしちゃってる感じ?》
「え……何で別荘があるって知ってるんですか?」
カノンだって知らなかったのに……。