お姫様に花束を
《カノンって交友関係狭いだろ?
プライベートで付き合ってる友達なんていないし、普段から関わってるのって俺ぐらいだしさ。
だから今朝俺のとこに電話が来たのよ。
カノンがそっちに行ってないかって》
「すみません……ご迷惑かけて」
俺がそう言うと、エリック様は朗らかに笑った。
《迷惑だなんて思ってないよ。
俺はね、リオンと出会ってからのカノンを見てるのが楽しくて》
「え?」
《よかったよ。
カノンが好きになったのがリオンで》
「エリック様……」
《俺も気兼ねなくリオンのことを報告できたしなー》
……報告?
「報告って……誰にですか?」
《え?決まってんじゃん。
ロイだよ》
「ロイ様に……?」
《昨日、ロイの墓参りに行ってきたんだ。
ちゃんとばっちりリオンのこと伝えておいたからな!》
エリック様は電話越しでも分かるぐらいに嬉しそうな声でそう言った。