お姫様に花束を

「このアルバム、ご存知なんですか?」


俺が聞くと、ゲンさんはゆっくり頷いた。


「アナスタシア様が大事になさっていたアルバムじゃ……。
まさかここに残されていたとは……」

「おばあ様が……」


じゃあ、このアルバムはアナスタシア様が作られて……。


「このアルバムがどうかしたのか?」

「これを見てほしいんです」


そう言ってカノンは最後のページに貼り付けたあの写真をゲンさんに見せた。


「コアブリー……」


ゲンさんが写真を見ながら呟く。


「これ……この町で撮られたものですよね?」


カノンが聞くと……ゲンさんは間を空けてから小さく頷く。


「……そうじゃ。
この町はコアブリーの原生地じゃからの」


……やっぱりそうだったのか……。

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