お姫様に花束を

「このコアブリーの花畑……どこにあるんですか?」


カノンが聞くと、ゲンさんは少し黙りこんだ。


……そして、しばらく考え込んだあと顔を上げてカノンの顔を見た。


「……まぁ、いいか。
お前さん達なら……」

「ゲンさん?」

「あのコアブリーの花畑はの……お前さん達が見た、あの建設予定地……あのもっと奥の方にあるんじゃ」


え………。

じゃあ……そしたら……


「まさか、そのコアブリーの花畑も予定地に……?」

「いや。そこまでは入っとらんが……もしあそこに建物が立てば、何らかの被害は受けるじゃろう。
……わしらが一番心配していたのはそこじゃ」


そうか……町民達はあの花畑だけでなく……コアブリーの花畑のことも……。


「……もし、それが事実なら……。
プロジェクトを廃止するための一番良い理由になる……」


……確かにカノンの言う通りだ。

国の象徴ともいうべき花が……国でも一部の地域にしか生息していない貴重な花があったとなれば話は大きく変わってくるだろう。

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