お姫様に花束を
「プロジェクトは即刻中止にするよう国王様に訴えるつもりよ」
「何でそんなこと……」
「今の話聞いてたら分かるでしょ。
あなたが血の通った人間なら」
ディラン様は理解できないという風に頭を横に振る。
そして、キッと俺を睨み付けた。
「……お前のせいか」
「……は?」
「どうせお前が何かカノンに吹き込んだんだろ!
じゃなかったら、カノンがこんなこと言うはず……」
「ディラン」
カノンが声を荒げるディラン様を制す。
ディラン様は納得いかなそうにカノンを見る。
「こんなこと……国王様がお許しになるはずがない。
こんな勝手なこと……!」
「……説得させるつもりよ。
何としてでも」
カノンの目は本気だった。
そんなカノンを見てディラン様はさっきよりも声を荒げる。
「俺は認めない!
町民に向かって無責任な発言をした挙げ句、こんな庶民の男と……。
このことは母上に報告する!
そしたら、母上はきっとカノンを次期女王の座から引きずり下ろすだろう。
……そして、俺が……!!」
……カノンは冷たい目でディラン様を見た。
そして、小さくため息をついた。