お姫様に花束を

「母上……ね。
……あなた、いつまで母親に甘えてるつもりなの?」

「なっ……」

「これは世間で俗に言うマザコンというものかしら」

「カノン!!」


ディラン様がカノンに詰め寄る。

でも、カノンは特に動じることもなく相も変わらずディラン様に冷たい視線を送っていた。


「……私は母親がいなければ何もできないあなたと違う。
私は自分が信じた道を歩いていく。
……親がそれを反対したって、私は絶対諦めない」


カノン……。


「……それから、ディラン。
一つ聞きたいことがあるんだけど」


カノンは鋭い視線をディラン様に向けた。

さっきまでとは違う雰囲気にディラン様は少し狼狽する。


「……どうしてあなたがこんなところにいるの?」


カノンのその質問に……ディラン様は突然焦り始めた。

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